発売日：1988/6/25

チャート最高位：2位（オリコン）

売上枚数：31.7万枚

作詞・作曲　桑田佳祐

編曲　サザンオールスターズ & 小林武史

サザンオールスターズデビュー10周年にあたる日にリリースされた24枚目のシングル。ベスト盤には入っているが、オリジナルアルバムには未収録。

スカっぽいノリの16ビート風のリズムで始まる曲は、Bメロで突然８ビートのロック調に変わり、「虹のカーニバル」というハッピーな歌詞とともに、サビの盛り上がりへつながっていく。あふれ出るエネルギー、パワーとキャッチーなポップスが交わった、この当時のサザン・桑田の勢いを印象付ける１曲。

発売時から現在に至るまで、ライブでもかなりの高頻度で演奏され、Bメロ部分からサビにかけて、客席はワイパーのように両手を左右に振り、その様子を引きの画で見せる映像はサザンのライブではおなじみの光景となった。発売したばかりの頃に放送された番組「土曜深夜族」のライブ映像で（ほぼ一般には初演奏ではなかったか）、桑田が客席を煽るように左右に手を振ったことをきっかけに、客席も左右に手を振る様子が映っており、かなり初期の頃からファンに浸透していたことがわかる。

原曲どおりのイントロで演奏されることはほとんどなく、ピアノの静かな演奏をバックにサビの「この胸に～」の部分をスローバラードのように歌い、「街並みはBlue～～～～～」と伸ばして客席をあおりにあおってから、ヒロシのドラム連打を経て「あ～いをと～め～ない～で～！」と始める演出が主流（確認できる限り、1989年の年越しライブではもうすでにやっていた）だったが、35周年LIVEの頃から、同じようなピアノをバックに「あの日から～何度目の～」というオーバーチュアが導入されるようになった。

また、この曲が演奏される際には（毎回ではないが）桑田が客席に水をかけるという演出もファンの中ではおなじみ。紙コップで撒くときはかわいいもので、野外ライブ等では消防のホースのようなもので水を撒くというハードな演出が行われることもある。このホース水撒きは2023の茅ヶ崎ライブでも行われており、この時は前述のオーバーチュアで「世の中いろいろとあるけれど　水に流すのはどうだい」という、「これから水を撒きますよ」的な予告をした上で曲が始まるという秀逸な演出が行われた。それにしても、68歳にして客席にホースで水を撒くベテランミュージシャンはこの人ぐらいだろう。ホース水撒きの際は、舞台監督である南谷成功氏が自ら桑田の後ろでホースを支える姿も愛らしい。

この曲に関してはもう１つ、長渕剛が、自身の主演ドラマ「とんぼ」において、カーステレオから流れてきた「みんなのうた」に対して、「そんなクソみたな曲消せ、この野郎！」「日本人なめくさってんのか！」と、運転席にいる哀川翔に毒づくというシーンがある。ほぼ同期である長渕と桑田の確執は、1993年発表の「すべての歌に懺悔しな!!」で集大成を迎えるが、わざわざドラマの内容と全く関係のない意味のないシーンをねじ込むあたり、少なくとも長渕側にはこの頃からくすぶった思いがあったと思われる。

作詞・作曲　桑田佳祐

編曲　サザンオールスターズ & 小林武史

「おいしいね」「産業ロック」「業界不惑」「あやつり人形」「商う人だらけ」という歌詞から、「桑田自身、本当はこのタイミングでのサザン活動再開を望んでなかったが、10周年という「おいしい」メモリアルなタイミングを逃すまいとする「商う人」たちの「あやつり人形」となり、このシングルとメモリアルライブを敢行せざるを得なかった「業界不惑」にけがれて「産業ロック」をやってしまった自分や業界に対するアンチテーゼソング」という見解を示す人もいる。

そこまで強い想いがあったかどうかは別として、ソロアルバム「Keisuke Kuwata」の発売日がこのシングル発売直後の7月9日であったことや、歌詞の最後「This song's about my actions（これは私の行動についての歌です）」というメッセージからも、このシングルがやや強引にねじ込まれた感が否めず、本来はソロ活動をちゃんと終結させてから（もしかしたらツアーをやりたかったのかもしれない）サザンの活動を再開したいという思いがあったとしてもおかしくはないな、という気はする。

へばりつくようなサックスの音色が耳に残る奇妙な曲調も、桑田の当時の心境を物語っているというのは深読みしすぎか。

結果、サザンの復活ライブのスタジアムチケット約50万枚は発売直後に完売するなど、「商い」は大成功に終わったわけだ。