《10ナンバーズ・からっと》 ★★★★★★
発売日:1979/04/5
チャート最高位:2位(オリコン)
売上枚数:67.7万枚
レビュー
セカンドアルバム。前作からわずか8ヶ月しか経たないうちに発売されたことからもわかるように、当時のサザンは多忙なスケジュールに追われていた。「勝手にシンドバッド」のヒット後、なかなか次作が思うようにできずノイローゼに近い状態だったと後の桑田は語る。勝手にシンドバッドによるパロディ的イメージを世間から求められ、苦しみぬいた末に発表した「いとしのエリー」で彼らはコミックバンドからの脱皮に成功する。
桑田自身は、多忙な時期に作成され満足のいく曲作りができなかったためか「駄作」と語るらしいが、その割には秀逸な曲が多数収録されており、日本レコード大賞のベストアルバム賞を受賞している(おそらく「いとしのエリー」が収録されているためか)。初期サザンでは一番好きな作品である。
(1) お願いD.J. ★★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
管・弦編曲 新田一郎
まさにこのアルバムの始まりを告げるようなピアノのイントロが印象的な曲。DJのモデルはウルフマンジャックというアメリカの有名なDJ。曲の間奏で桑田によるウルフマンジャックのモノマネが披露される。メロディはポップで聴きやすい。
(2) 奥歯を食いしばれ ★★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
ヒロシのドラムソロで始まり、ハラボーのかっこいいピアノのリフが印象的な、初期サザンの中でもかなりカッコイイ曲。イントロを聴いただけで「おっ」と思うようなサウンドだ。途中から曲調がレゲエ調に変わるのも面白い。なお、歌詞カードを見ると歌詞は記号になっている。意図的なものがあるのかと思っていたが、単に忙しすぎて印刷に間に合わなかったという説が有力。個人的な印象だが、楽曲の秀逸さに比べると桑田のボーカルのレベルがまだ追いついていない感じが否めない。ちなみに30周年ライブでメドレーの一部として披露されたが、現在の深みの出た桑田のボーカルでこの曲を歌うと最高にカッコよかった。ぜひメドレーではなくフルコーラスで聴きたかった。
(3) ラチエン通りのシスター ★★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
曲の背景は、茅ヶ崎に実在する「ラチエン通り」に住んでいたという、桑田の学生時代に好きだった女の子のことを歌っているそうだ。楽曲は桑田お得意の8分の6拍子のバラード。この時点では「恋はお熱く」に次ぐ2曲目。前作に比べるとグッと深みが出て、歌詞もなかなかにせつなく、かなりの佳曲だ。が、いかんせん当時のサザンのレベルではまだこの素晴らしい曲を消化しきれていない感があるため★6つとする。なお、シングル「愛と欲望の日々」のカップリングとして2004年にライブ演奏されたバージョンを聴くことができるので、ぜひこの曲の「完成形」が聴きたい方はこちらでどうぞ。
(4) 思い過ごしも恋のうち <Single.4>
(5) アブダ・カ・ダブラ(TYPE.1) ★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
この曲はTYPE.3まである(3は「いとしのエリー」のC/W)。ブラスバンドジャズだが、特記するような曲ではない。なお、この曲がレコードでいうA面のラストソングに当たるため、フェード・アウトで終わっている。
(6) アブダ・カ・ダブラ(TYPE.2) ★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
レコードB面はこの曲のフェード・インでスタートする。ちなみにこの曲は「日清U.F.O」のCMソングになっていた。
(7) 気分しだいで責めないで <Single.2>
(8) Let It Boogie ★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
管・弦編曲 兼崎ドンペイ
「女呼んでブギ」に続くノリノリブギソング。この歌もCMソングに使われていたらしいから、当時のサザンは飛ぶ鳥を落とす勢いだったのか。
(9) ブルースへようこそ ★★★★
作詞・作曲・編曲 サザンオールスターズ
意味不明ソング。曲調はタイトルどおりブルース調なのだが、歌詞がひどい。歌詞カードはこれまた記号になっているが、聞き取ると明らかに男性の同性愛のことを歌っている。「男のがいいの、ただひとつ気がかりになるのがミソよ」という、意味をよく考えるととんでもない歌詞になっており、なぜこんなことを歌にしたかったのかよくわからない。歌の中にはなぜかムクちゃん(ベースの関口和之のこと)が登場するが、彼はこの歌詞とは関係がない。すごいのは、この歌を所ジョージと桑田がテレビ番組でデュエットしたことがあるとのこと。かなりの危険人物である。
(10) いとしのエリー <Single.3>
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