《熱い胸さわぎ》 ★★★★★
発売日:1978/08/25
チャート最高位:16位(オリコン)
売上枚数:10.1万枚
レビュー
サザンオールスターズの記念すべきデビューアルバム。
演奏も、桑田のヴォーカルもまだまだ荒々しく初々しいのが印象的。しかし桑田のメロディメーカーとしてのセンスはさすがで、このアルバムからはいまだにライブで演奏される曲も多い。
サンバのようなラテン系で始まりボサノバ、ジャズ、ブルース、レゲエなど、幅の広さはデビュー当時から。歌詞はとにかく若さあふれる「エロ」といった生々しさがある。たまに原点回帰で聴きたくなる1枚だ。
(1) 勝手にシンドバッド <Single.1>
(2) 別れ話は最後に ★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
管編曲 Horn Spectrum
にぎやかな曲の後に来るのはボサノバ風のスローな曲。当初はこの曲がデビューシングルになる予定であった。原曲名は「ボサノバ69」。
(3) 当って砕けろ ★★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
管編曲 Horn Spectrum
跳ねるようなベースで始まるこの曲は、勝手にシンドバッドのカップリング曲。相変わらず歌詞は意味不明。曲の最後には~ウ~~~ウォンテッド!~とピンクレディのパクリが入る。
(4) 恋はお熱く ★★★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
このアルバムでデビュー決定後に作られた唯一の曲であるとのこと。長らく聞いていなかったが 2008年3月に石垣島で行われたFMアコースティックライブの際に地元バンドであるBEGINとコラボしたのを聴いたときにあらためていい曲だと再認識した。比嘉栄昇バージョンもすごく魅力的であった。
(5) 茅ヶ崎に背を向けて ★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
ハラボーとのデュエットソング。気分次第で責めないでのカップリング。桑田の著書「ロックの子」によると、桑田の初めてつくったオリジナルソングとのこと(ただし原由子の著書では別の曲という説あり)。茅ヶ崎は言わずとしれた桑田の故郷。勝手にシンドバッドでも「茅ヶ崎」「江ノ島」などのフレーズが出てくることから地元への愛着は当時から強かったと思われる。2000年の「茅ヶ崎ライブ」で披露されたときは感動した。
(6) 瞳の中にレインボウ ★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ&リアル・フィッシュ
こういったジャズっぽいサウンドは初期サザンによく見られる曲である。タイトルはレオンラッセルの「Rainbow
in Your
Eyes」からとったものと言われている。こういう曲では(特に当時の録音では生々しく聞こえるため)松田弘のドラムのうまさが際立つ。曲のラストは大好きなブルースで締めている。
(7) 女呼んでブギ ★★★★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
管編曲 Horn Spectrum
「女呼んでもんで抱いていい気持ち~女なんてそんなもんさ~」と高らかに歌う問題作。現代なら、デビュー間もない若者がこんな女性蔑視な曲を書けばコンプラ警察が大騒ぎしそうな曲だが、当時は女性蔑視というよりは、単なるスケベ男の歌として捉えられたのかもしれない。
しかしまぁ、よくこんなアホらしい歌詞の歌を作品として世に送り出そうとしたものである。しかもこの曲を、デビューする前にヤマハEastWest’77という彼らのデビューのきっかけとなったコンテストで披露したというからすごい。なおこのコンテストで桑田はベストヴォーカル賞を受賞している。
また、後半のサビの途中で何を歌っているか聞き取れない部分があるが、この部分はいまだに未完成(作る気がない?)とのこと。このテキトーさから見ると彼らはおそらく本気でプロのミュージシャンとしてやっていく気はなかったのかも知れない。しかし楽曲は秀逸。ライブでもたまに演奏されるがイントロが流れるだけで大歓声が沸き起こる。
(8) レゲエに首ったけ ★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
正直、この曲以降はあまり聴かない。この曲はタイトルどおりレゲエの曲である。歌詞は「レゲエは女よりもいい」など嘘八百と思われるレゲエをこよなく愛する内容になっているが、この後レゲエ調の曲はあまり発表されていない。
(9) いとしのフィート ★★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
サザンのバンド編成(パーカッションがいること)など、当時のサザンが影響を受けたバンド、リトル・フィートをイメージして作られた曲。ただし歌詞は全く関係がなく1チャンネル(NHK・紅白歌合戦のことと思われる)、お正月などといった年末年始ソングである。そのせいか年越LIVEで演奏されたのを聴いたことがある。曲としてはとくにインパクトのない曲だと思う。
(10) 今宵あなたに ★★
作詞・作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
この曲もヤマハEastWest’77で演奏されたアマチュア時代からの持ち歌。「あなた悲しや天ぷら屋」という意味不明な歌詞はハラボーの実家「天吉」のことを歌っていると思われる。この曲もダラダラした感じでとくにインパクトはない。